「今年は海外FXの確定申告をしないとだけれど、どのように書けばよいか分からない」
「国内FXと違って海外FXは確定申告のやり方が面倒なのかな?」
そんなお悩みがある方に、本記事では海外FXで得た利益を確定申告で計上する際のやり方を丁寧に解説します。
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海外FX取引における確定申告の必要性と条件
確定申告は、一年間の所得に対して税金を計算し納税する手続きです。所得には10種類あり、海外FXからの利益は雑所得に分類されます。
特に会社員などは、通常給与から税金が源泉徴収されるため、個別に確定申告を意識する機会が少ないかもしれません。しかし、海外FXで一定額以上の利益を得た場合、自己申告による納税が必要になります。
課税の基準
海外FXにおける課税の基準は以下の通りです:
- 会社員、アルバイト、パートなどの場合:年間所得が20万円超
- 個人事業主、専業主婦などの場合:年間所得が48万円超
給与所得者は、海外FXからの年間所得が20万円を超えると納税の義務が生じます。ここでいう所得は、利益から経費を差し引いた後の金額を指します。年間の利益が20万円を超えても、経費を差し引いた後の金額が20万円以下なら課税されません。ただし、少額でも所得があれば住民税の申告は必要です。
海外FXと国内FXの税率の違い
海外FXと国内FXでは、課税方法が異なり、それに伴い税率も変わります:
- 海外FXの税率(住民税含む):15〜55%
- 国内FXの税率:一律20.315%
海外FXでは所得に応じて税率が15〜55%となり、利益が増えるほど税金も高くなります。一方、国内FXでは所得に関係なく一律20.315%の税率です。
海外FXと国内FXの両方で利益を得た場合、給与所得と海外FXの所得は合算し、国内FXの所得は別途計算して納税します。このため、確定申告の手続きが複雑になる可能性があります。
会社員(サラリーマン)など給与所得者は原則「白色申告」
所得税の申告方法には白色申告と青色申告がありますが、会社員やアルバイトなど給与所得者は基本的に白色申告のみ可能です。
青色申告は営利目的の事業を継続して行う者に限られ、多くの海外FXトレーダーがこの条件を満たさないため、青色申告が認められるケースは稀です。
海外FXの取引頻度が高く利益も多い場合でも、これを事業所得として認める例は少ないため、海外FX取引に関する確定申告は白色申告で行うことが適切です。
海外FXの確定申告に必要な書類
確定申告を行う際に必要な書類を整えることは、スムーズな申告手続きのために重要です。
以下に、確定申告の際に準備すべき主な書類について解説します。
必要書類①マイナンバーカード
マイナンバーカードは、個人情報が記載されたICチップ付きのプラスチック製カードです。確定申告時にマイナンバーカードとICカードリーダライタがあれば、スマートフォンやパソコンから簡単に申告書を作成することが可能です。カードの申請から交付まで約1ヵ月かかるため、早めの準備が推奨されます。
必要書類②源泉徴収票
給与所得がある場合、会社から渡される源泉徴収票が必要です。2019年の法改正で確定申告時の添付義務はなくなりましたが、給与所得の入力には源泉徴収票が必要です。
紛失した場合は勤務先に再発行を依頼する必要がありますので、大切に保管しておきましょう。
必要書類③各種控除を証明する書類
基礎控除を除き、様々な控除を申請する際には、それぞれの控除に関連する領収書、納付書、証明書などが必要です。
控除の種類 | 内容 |
---|---|
配偶者控除 | 配偶者の所得が48万円以下の時に適用 |
配偶者特別控除 | 配偶者の所得が48万円超〜133万円以下の時に適用 |
扶養控除 | 年間所得が48万円以下の扶養家族がいると、最大63万円の控除が可能 |
医療費控除 | 年間の医療費が10万円以上の場合、最大200万円の控除が可能 |
社会保険料控除 | 健康保険や厚生年金などの支払額の控除が可能 |
生命保険料控除 | 掛金や保険料に応じて最大12万円の控除が可能 |
寄付金控除 | ふるさと納税などの特定寄付金を年間2,000円以上が対象 |
それぞれの所得控除の要件に当てはまる場合には、各種所得の金額の合計額から各種所得控除の額の合計額を差し引きます。所得税額は、その残りの金額を基礎として計算されます[2]。これらの控除を活用することで所得税や住民税の節税が可能です。
必要書類④経費の領収書
海外FX取引に関連する経費については、適切な領収書を準備することが大切です。経費にできる例として、下記のようなものが挙げられます。
- パソコン購入費用
- インターネット料金
- FX関連の書籍代
- FX関連のセミナー参加費
- 家賃や光熱費
- VPS費用
- トレードツール購入費用
領収書は確定申告書類として提出する必要はありませんが、税務調査の際に証明書類として求められる可能性があるため、5年間の保存が義務付けられています。
年間取引報告書
海外FX業者からの利益申告には、年間の正確な損益が記載されている年間取引報告書が必要です。
年間取引報告書は、トレードに使用するMT4やMT5などから取得するのが一般的です。確定申告書類としての提出は不要ですが、税務調査時に利益の証明となるため、7年間の保管が必要です[3]。
これらの書類を事前に準備しておくことで、確定申告のプロセスがスムーズになります。また、万が一の税務調査にも対応しやすくなります。
確定申告のやり方!4つの方法
確定申告にはいくつかの方法があり、それぞれの手順や特徴を理解することが重要です。
以下に4つの主な確定申告方法とその手順を簡単に説明します。
確定申告方法①手書きで申告する
最も基本的な方法は、税務署や確定申告会場で手書きによる申告を行うことです。必要な書類を全て持参し、申告書に必要事項を記入します。
この方法は、確定申告の書類を直接手書きで記入するため、時間がかかり、特に確定申告の時期は混雑が予想されます。
その場で質問することは可能ですが、待ち時間が長くなる可能性があります。
確定申告方法②e-taxで提出で申告する
国税庁のホームページを利用し、オンラインで確定申告書を作成してe-taxで提出する方法です。
この方法では、ガイドに従って必要情報を入力し、書面またはe-Tax経由で提出が可能です。
完成した確定申告書は郵送で提出することもでき、直接税務署に足を運ぶ必要がなくなります。
確定申告方法③会計ソフトを使って申告する
会計ソフトを使用すると、確定申告関連の作業を効率化できます。市販の会計ソフトやオンライン上のクラウド会計サービスを利用できます。
インストール型とクラウド型の両方にメリットがあり、使用環境やニーズに合わせて選択することができます。
会計ソフトは帳簿の作成や確定申告書の準備を簡単に行うことができ、特に継続的な経理作業が必要な個人事業主には便利です。
確定申告方法④税理士に依頼する
最後の方法として、税理士に確定申告の作成を依頼する方法があります。これは、確定申告に関する専門的な知識が必要な場合や、複雑な税務処理が必要な場合に特に有効です。
税理士に依頼すると、帳簿の作成から確定申告書の提出までを代行してもらえ、節税対策のアドバイスを受けることも可能です。
ただし、この方法は費用が発生するため、自身の状況に応じて検討する必要があります。
それぞれの方法にはメリットとデメリットがありますので、自分の状況や確定申告の複雑さに応じて最適な方法を選択することが重要です。
海外FXの確定申告の書き方~確定申告書作成コーナーの作成方法から提出までのやり方を解説~
ここからは、海外FXの確定申告の書き方から提出までのやり方について詳しく説明します。
ここでは、初めて確定申告を行う会社員の方向けに、確定申告書作成コーナーでの作成方法と提出までのステップを解説していきます。
ステップ1:確定申告書作成コーナーへのアクセス
国税庁の「確定申告書作成コーナー」を開きます。「作成開始」をクリックしましょう。
提出方法 | 必要なもの |
---|---|
マイナンバーカード方式(2次元コード) | マイナンバーカード・スマートフォン |
マイナンバーカード方式(ICカードリーダライタ) | マイナンバーカード・ICカードリーダライタ |
ID・パスワード方式 | 税務署で発行されたID・パスワード方式の届出完了通知 |
印刷して提出 | 特になし |
自分で確定申告を提出するには、上記の3つの方法があります。ここではマイナンバーカードをお持ちのない方でも簡単に提出できる「ID・パスワード方式」のやり方を解説します。
なお、初めて確定申告を行う場合は、事前にご自身の管轄税務署に行って「ID・パスワード方式の届出完了通知」を受け取りましょう。
そこに記載のある「利用者識別番号」と「暗証番号」を入力して進みます。
ステップ2:給与所得の入力
所得税の選択後、「作成開始」をクリックします。
申告内容に関する質問に回答します。海外FXの利益がある場合は、「給与以外に申告する収入はありますか?」という質問に「はい」と回答します。
「給与所得」の入力画面で、源泉徴収票に基づき「支払金額」と「源泉徴収税額」を入力します。
ステップ3:海外FXの利益を入力
雑所得の入力画面に移り、「その他の入力」を選択します。
種目を「その他」「証拠金取引」に変更し、海外FX業者の年間取引報告書に基づいて「収入金額」「必要経費」を入力します。
「報酬などの支払者の氏名・名称」には、海外FX業者の運営会社名(例:XMTradingの場合:Tradexfin Limited)を入力します。
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入力後の確認画面で内容を確認し、「次へ進む」をクリックします。
これにより、所得税の納税額が表示されます。後ほど納税額を支払いしますので、金額は必ずメモに残しておくようにしましょう。
ステップ4:e-taxで確定申告書の提出
住所や氏名を入力し、マイナンバーを入力すれば、確定申告書が完成しますので「印刷する帳票」を選択し、印刷します。
印刷した確定申告書を税務署に郵送、または直接管轄の税務署に持参します。確定申告期間中の税務署は混雑するので、郵送での提出がおすすめです。
「海外FXの確定申告のやり方は?必要書類・書き方など詳しく解説!」のまとめ
本記事で紹介したやり方以外も入力する項目に変わりはありません。もしマイナンバーカードとご自身のスマートフォンをお持ちの方は税務署へ行ったり郵送しなくても確定申告書を提出することができます。
「確定申告書作成コーナー」からご自身のやりやすい方法で申告を行っていきましょう。
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<参考文献>
[1]国税庁,「源泉徴収票等の添付が不要となりました」,available at https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0019003-121_01.pdf
[2]国税庁,「No.1100 所得控除のあらまし」,available at https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1100.htm
[3]国税庁,「No.5930 帳簿書類等の保存期間」,available at https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm